まちのお母さんたちの手づくり弁当。地元産の野菜が手に入る「なぎ高原山彩村/旬工房」
「あそこのお弁当は美味しいよなあ。」
奈義に引っ越してきて、このような言葉を何度も耳にしました。
仕事などで町外から訪れる人たちも、みな口をそろえてそう言います。
そんなお弁当が手に入るのはここ、なぎ高原山彩村。
地元の農家のみなさんが集まった「山彩村企業組合」によって運営されていて、
店内に入ると、地元で育てられた新鮮な野菜や果物が目白押し。
他にも、奈義町を含む岡山県北部のお酒や工芸品、お土産品も多数揃えられています。
店内を眺めていると、奥の厨房から出来立てのお弁当が運ばれてきました。
まだ少し温かいせいか、お弁当から美味しそうな香りが漂ってきます。
こちらが奈義町自慢のお弁当。
山彩村に併設された加工施設「旬工房」で、まちのお母さんたち10人の手によって毎日つくられています。当日の朝に全て手づくりで、既製品は一切使用していません。
その分の手間と、つくり手の気持ちが込もっています。
今日のメニューは、こちら。
・おくらとアスパラの胡麻和え
・赤魚の揚げ浸し
・きゅうりとミョウガの和え物
・かぼちゃ、おくら、ちくわの煮物
・とんかつ
彩りもきれいで、見た目から美味しそう。料理の種類も豊富で、栄養満点です。
「レシピがないから、つくる人で味がちょっと変わるんよ。」
10人のお母さんたちが、それぞれの家庭で親から子へ受け継がれてきた味をそのままに調理している。
そう聞くと、味が違って当然です。しかし、私は何度もここのお弁当を食べていますが、
どのお弁当もいつも美味しいんです。
味付けは決して濃くなく、落ち着いていて、家庭的なあたたかさを感じます。
ひとつひとつの具材をゆっくり味わいながら食べたくなるからでしょうか。
特別量が多いわけではないのに、普段飲食店に行くとだいたい大盛を注文してしまう私でも、満足できる量。腹持ちもいいように感じます。
お弁当だけでなく、お惣菜の種類も豊富です。
こちらももちろん当日朝に手づくりされたもの。午前中の短い時間にこれだけの料理をつくるのは大変なことですが、毎朝お母さんたちが頑張ってつくっています。
人気の総菜は鳥のから揚げ。
外はかりっと、中はジューシー、ちょうどいい揚げ加減、味付けで、お昼のおかずにこれを買いにくるお客さんも多いそう。
今年に入り、店内にイートインスペースが出来たので、出来立てのお弁当や総菜をその場ですぐに食べることができます。
「昔は店内の雰囲気ももっと暗くて、商品も今の3分の1くらいしか置いてなかったんですよ。」
そう話すのは、理事長であり店長の為季さん。3年前に店長になり、ここをより人の集まる場所にするべく従業員や会員のみなさんと共に日々尽力していらっしゃいます。
為季さんがここの店長に就いてから、商品を増やして売り場ににぎわいをつくるため、町内や隣接地域の生産者の皆さんに積極的に声掛けを始め、山彩村との提携者を200人まで増やしていきました。そして、以前から実施していた野菜づくり講習会を、農家を巻き込む機会ととらえ、講師やテーマを工夫するなどした結果、参加者が約4倍ほどまで増えたそうです。
「わしは凝り性じゃけんな。」
そう言いながら、山彩村のことについて話す為季さんの顔はとてもいきいきして見えました。
「いろんな人がここに来て、ここで楽しく会話や買い物をされる、そんな人が来やすいお店にしていきたい。今は、年間約6万人のお客様においで頂いてますが、更に増やしていきたいんです。そのために、野菜出荷の充実を図るとともに、様々な商品についてみんなで検討を重ねています。常にあたたかい心でもってお客様をお迎えしたいと考えています。」
私が取材している間にも、野菜を持ってきた農家さんが店員さんと楽しくお話をされていたり、お客さん同士が立ち話を楽しんでいたりと賑わっている様子でしたが、為季さんは現状に満足せず、もっと先を見据えているようです。
奈義町を訪れて、お店でランチするのももちろんいいのですが、山彩村のお弁当を手に奈義の景色を眺めながらのランチも、新しい楽しみ方としてオススメです。
店舗情報
なぎ高原山彩村企業組合/旬工房
住所:岡山県勝田郡奈義町滝本476-1
TEL:0868-36-8341
FAX:0868-35-3860
営業時間:9:30~17:30
定休日:第3木曜日、年末年始
駐車場:有(大型バス4台まで駐車可)
※本記事の情報は取材時点のものです。内容に変更がある場合がございますので、最新の情報は取材先に直接お問い合わせください。