地元で愛されるたい焼き屋「柴田商店」

国道53号線沿い、津山市との境の近くに、地元民に長く愛されているたい焼き屋さんがあります。

「しばたのたい焼き」で知られるこのたい焼き屋台は、今年で創業47年を迎える老舗屋台で、地元はもちろん近隣市町村からここのたい焼きを求めてくるお客さんも少なくありません。

取材に訪れた際も、多くのお客さんが訪れ、邪魔にならないよう合間を縫ってお話をお聞きしました。

ここまで長く地元に愛されるたい焼きは、いったいどんな味がするんだろう。

 

「焼いとるところを撮るのはなかなか難しいで。」

撮影の依頼をすると店主はそう言い、お話している間も手を止めることなく、ものすごいスピードで手際よくたくさんのたい焼きを焼き上げていきます。

焼き加減も、材料の分量も、全て身体で覚えているような、熟練の技。

 

焼き上がったたい焼きはこちら。これが「しばたのたい焼き」です。

こんがりと香ばしく、かつ餡の甘い香りが漂ってきます。

 

手で割ると、中からなめらかで艶やかなあずき色をしたつぶ餡が姿を見せ、甘い香りがより一層漂います。

食べてみると、頭から尻尾までぎっしりつまった餡と、かすかに甘い香りのするふわふわな生地が絶妙なバランス。

そして気づいたのは餡の塩味。店主曰く、少し塩味を効かせているようで、甘ったるさはないものの、さっぱり食べられるのが人気の理由。

それから、生地に卵を使っていないので、卵アレルギーのお客さんも喜んで買ってくださるそうです。

しばたのたい焼きは、つぶ餡のみ。

白餡やカスタードなど、色んな味のたい焼きがある中、つぶ餡一筋なのは何か理由があるんだろうか、そんな疑問をぶつけてみました。

 

「この餡のために、この生地がある。もちろん昔は他の餡を考えたこともあったけど、この生地は他の餡には合わないし、流行り廃りに乗らずに、うちはこのつぶ餡とこの生地で焼く。」

現店主は二代目で、昔はご両親がこのお店を営まれていました。父が焼き、母が餡を炊く。その姿を間近で見てきた店主の、試行錯誤しながらもその味を受け継いでいく覚悟と信念のようなものを、私はその言葉から感じました。

 

「お客さんとのたわいもない会話を大事にしたい。」

もちろん、話したくない人もいるだろうからそこは様子を見るけど、たい焼きが焼けるまで待ってもらう間の時間、ただ事務的に売り買いするんじゃなくて、ひと言ふた言でも、会話ができたらいい。そういう店かな、うちは。店主は笑顔でそう話します。

 

取材が終わる頃、またひとりお客さんがやってきました。

「運動会終わったからほっとしとんじゃないん?」

「そうじゃけど、ほんまに暑かったんじゃー。」

そんなたわいもない会話を交わし、たい焼きを受け取って帰るお客さん。

しばたのたい焼きが地元の人たちに慣れ親しまれ、日常に溶け込んでいる、その会話を聞きながらそんな光景が想像できました。

地元に馴染み、愛されるしばたのたい焼き、奈義に来た時には是非お立ち寄りください。

 

店舗情報

柴田商店

住所:岡山県勝田郡奈義町上町川(ファミリーマート奈義町店横)

TEL0868-36-3170

営業時間:10301900

定休日:水曜日

駐車場:有

※本記事の情報は取材時点でのものです。内容に変更がある場合がございますので、最新の情報は取材先に直接お問い合わせください。